第2章 第6話「寿司屋の営業(1)」


「えっ? チラシ送っただけじゃダメなの?」

さっきまで明るかった信一の顔色が一気に暗くなった。


「ダメじゃないですけど、どのくらいの効果があるか想定が難しいですよね。ここは、ちょっとがんばって訪問しませんか?」


「ほ 訪問〜?? おれそんなのやったことないよ〜 それにどこに行って何をしゃべれば・・・」


「信さん 大丈夫! 何をどういう順番で話せばいいかは、ほら、あのWBSをつくりますから!」

と隆彦はなだめるように続けた。


「どこに行ったらいいかは、まさか手当たり次第の飛び込みって訳にはいきませんから、ウチにきて頂いたことのある既存客に絞りましょう。一度ウチの寿司を食べて頂いてるんだから、『何しにきた』なんて多分言われませんよ。」


「既存客ねぇ・・・それなら少しは気が楽かも・・・ちゃんとしたWBSお願いしますよ、隆彦さん。」


多少パニックが収まりかけた信一が不承不承答えるも、まだ不安は残る。

「それにしても、どうやってウチにきて頂いたお客をしらべたら・・・」


一瞬、信一の顔が明るくなった

「・・・そういえば、領収証作るときに頂いた名刺が箱に入ってましたね、あれ多分3〜400枚はとってある。」


「そうですね、古いのは転勤されたりいろいろあると思いますので、新しい順で使うことにしたらどうでしょう?」


「ふーっ なんかえらいことに巻き込まれちゃったなぁ。隆彦さん、かんべんしてよぉ」


半分泣きが入った信一の一言をスルーし、隆彦が続ける。


「これでスタートとゴールが決まりましたね。必要件数は後でさっき決めたゴールから追うことにして、手順をスタートから考えましょう。


「もーぉっ! わかりましたよ、こうなりゃ乗りかけた舟だ!考えましょう!」


こうやって、二人が考えたスタートからゴール(売上)の手順は次の通りだった。


1、名刺を新しいものから(A)件リストアップする。

2、そこから実際に訪問できる有望先を(B)件リストアップし、所在地を地図にプロットする。

3、訪問して、親睦担当者(キーマン)を探索する

4、親睦担当者(キーマン)にあいさつ(接触)し、プランを提示する(C)件。

5、プランの魅力を知ってもらい、グループ内で検討してもらう(D)件。

6、電話予約をもらう(ドタキャンを見込み22件=目標の1割増)

7、離脱防止のため、3日前に確認の電話を入れる。

8、来店頂き、売り上げる(20件で100万円売上がゴール)


第7話 寿司屋の営業(2)に続く

次回は、具体的な数値を元にいよいよ二人が行動を開始します。



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