「えっ? チラシ送っただけじゃダメなの?」
さっきまで明るかった信一の顔色が一気に暗くなった。
「ダメじゃないですけど、どのくらいの効果があるか想定が難しいですよね。ここは、ちょっとがんばって訪問しませんか?」
「ほ 訪問〜?? おれそんなのやったことないよ〜 それにどこに行って何をしゃべれば・・・」
「信さん 大丈夫! 何をどういう順番で話せばいいかは、ほら、あのWBSをつくりますから!」
と隆彦はなだめるように続けた。
「どこに行ったらいいかは、まさか手当たり次第の飛び込みって訳にはいきませんから、ウチにきて頂いたことのある既存客に絞りましょう。一度ウチの寿司を食べて頂いてるんだから、『何しにきた』なんて多分言われませんよ。」
「既存客ねぇ・・・それなら少しは気が楽かも・・・ちゃんとしたWBSお願いしますよ、隆彦さん。」
多少パニックが収まりかけた信一が不承不承答えるも、まだ不安は残る。
「それにしても、どうやってウチにきて頂いたお客をしらべたら・・・」
一瞬、信一の顔が明るくなった
「・・・そういえば、領収証作るときに頂いた名刺が箱に入ってましたね、あれ多分3〜400枚はとってある。」
「そうですね、古いのは転勤されたりいろいろあると思いますので、新しい順で使うことにしたらどうでしょう?」
「ふーっ なんかえらいことに巻き込まれちゃったなぁ。隆彦さん、かんべんしてよぉ」
半分泣きが入った信一の一言をスルーし、隆彦が続ける。
「これでスタートとゴールが決まりましたね。必要件数は後でさっき決めたゴールから追うことにして、手順をスタートから考えましょう。
「もーぉっ! わかりましたよ、こうなりゃ乗りかけた舟だ!考えましょう!」
こうやって、二人が考えたスタートからゴール(売上)の手順は次の通りだった。
1、名刺を新しいものから(A)件リストアップする。
2、そこから実際に訪問できる有望先を(B)件リストアップし、所在地を地図にプロットする。
3、訪問して、親睦担当者(キーマン)を探索する
4、親睦担当者(キーマン)にあいさつ(接触)し、プランを提示する(C)件。
5、プランの魅力を知ってもらい、グループ内で検討してもらう(D)件。
6、電話予約をもらう(ドタキャンを見込み22件=目標の1割増)
7、離脱防止のため、3日前に確認の電話を入れる。
8、来店頂き、売り上げる(20件で100万円売上がゴール)
次回は、具体的な数値を元にいよいよ二人が行動を開始します。